頭皮鍼 頭皮鍼により得られる効果とは頭皮鍼はその名の通り、頭皮に鍼を刺し治療します。人間の体は、脳からの電気信号により機能しています。特に、大脳皮質には「機能局在」と呼ばれる体の各部位の機能に関係した支配領域が数多く存在します。そのため、大脳皮質に近い頭皮に鍼を刺すことで、人の身体を司る脳に近い各エリアに与えられた微弱電流の刺激は、脳の情報伝達経路と同じように皮膚から脊髄へと伝わり、機能局在と対応した体の運動や知覚、機能に働きかけます。 鍼灸治療は「免疫力」や「自然治癒力」を高める効果がありますが、頭皮鍼によりさらに脳神経細胞が活性化されると、脳内ホルモン(ドーパミン・セロトニン・エンドルフィン・成長ホルモンなど)の正常な分泌を促進させるという効果も期待できます。 頭皮鍼により、体の鍼治療では改善しきれなかった症状の改善や、脳血管障害の後遺症をはじめとする、パーキンソン症候群、舞踏病、こびと症、脳外傷後遺症などの中枢神経系の難病の治療率が大幅に上がったという論文もあります。 さらに、東洋医学的には、頭皮は、気血がたくさん集まっているところとされています。よって、頭皮の特定の部位に鍼を刺すことで、気血をめぐらせ、経絡の流れを良くする効果もあります。 頭皮鍼は、脳への効果が出しやすいため、深刻な症状、強い痛み、および神経系異常などの治療で高い効果を発揮します。 さらに頭皮には、体に比べ太い神経が走っていないため、痛みが少ないこともメリットといえます。 白髪のメカニズム 出来たばかりの髪はメラニン色素を含まず無色です。成長するにつれてメラニン色素が入り込み、色付いていきます。メラニン色素はメラノサイトという細胞で作られますが、メラノサイトが傷ついたり、必要なホルモンが作用しなくなると、メラニン色素が分泌されなくなります。 白髪になる最も大きな原因は加齢とされていますが、その他にもストレスや病気などが知られています。 これまでは、ストレス的刺激により色素細胞を生み出す幹細胞自体が機能を失い、メラノサイトが出来ず白髪になると考えられていました。しかし実際には、幹細胞が機能を失う前に、幹細胞を取り巻く微小環境(ニッチ)がダメージを受け、幹細胞がメラノサイトに分化出来ないことが解かりました。 つまり、色素細胞を生み出す幹細胞の回りのニッチを回復させ、維持させることでメラノサイトが再び働き始め、黒髪に戻すことが出来るのではとされています。 ―ストレスによる白髪― マウスにストレスを与え、体毛の変化を観察した実験があります。 結論としては、「ストレスを受けると交感神経系がノルアドレナリンを放出し、それがメラニン細胞に影響を与えている」というものでした。 ストレスでノルアドレナリンが毛根に流れ込むと、膨大な数の幹細胞が一気にメラニン細胞に変換され、大量の色素が産生・放出されますが、ホメオスターシスが働いて、余った色素は分解されます。一方、メラノサイトになるべき幹細胞は激減(性質上、幹細胞は簡単には補充されません)・枯渇するため、次に生えてくる毛は色素のない白毛になるのです。 頭皮鍼で、ストレス状態を脳からコントロールするとともに、血流を改善し、幹細胞への栄養状態を改善することで、美髪を促し、白髪予防、白髪の改善を行うことも可能です。 鍼灸のフレア現象について 鍼治療の刺鍼で周囲が赤くなることを『フレア現象』と言います。機械的刺激+化学的刺激によりTRPV1感作が生じて、抹消血流は増大します。また、頭皮を構成するコラーゲン活性が得られます。 鍼が「異物」として生体に認識されるからこそ軸索反射やフレアが起こり、こうした免疫反応を賦活させることが狙いです。 人が痛みを感じたり、凝りを感じる際には、局所であったり、関連する部位の血流が悪くなっている事が多いです。 鍼治療では、皮膚上からは届かない、深部の筋肉に直接働きかけ、深部の血流改善を促す事ができます。 参考文献 鍼灸刺激で誘発されるフレア反応に関与する受容体の検討 頭皮鍼の手法 頭皮鍼は中国が発祥とされています。そのため、中国には、日本では知られていない流派が数多く存在していますが、現在では、日本で考案された頭皮鍼で世界的に使われている手法もあります。ここでは、中国発祥のものと、日本発祥で有名なもの2つを紹介します。 朱氏頭皮針 中国式の手法の中でも日本で1、2を争うメジャーとなっている流派の一つです。 中医学の全体感を根底として、大脳皮質の機能と体表との関係(機能局在)を根拠にして治療を行います。 適応範囲が広く,安全かつ有効で,効果が早く確実に現れるにもかかわらず副作用がないことを特徴としています。 百会穴を中心点とする長方形の治療区に針を刺し、正確な場所や細かな手技により効果が強く影響を受けるため高度なテクニックが必要です。 山元式新頭鍼療法(YNSA) Made in Japanの手法で、世界的に数千人の医師が実践する治療法です。 特徴は、経絡や経穴を使わず、頭部にある9つの基本点と、独自の反射区(全身疾患に対応)と診断方法です。 中枢性疾患(脳梗塞・脳出血・麻痺など)・整形外科的な痛み・しびれ・めまい・耳鳴りなど、様々な疾患に有効なことが、世界中で認められ、中でも難治性とされるパーキンソン病・片麻痺・痛み・耳鳴り・めまい・治りにくい腰痛などに優れた効果があります。 その他にも、がん性疼痛や各器官の感覚異常にも対応し、様々な症状を改善できる可能性があります。 当院では、上記以外にも、様々な流派・手法を取り入れながら、症状や状況に合わせてベストな治療を行っています。 頭皮鍼の適応症 頭痛、円形脱毛症、白髪、ノイローゼ、めまい、耳鳴り、難聴、メニエール症候群、三叉神経痛、顔面神経痛(顔面神経麻痺)、脳血管障害、パーキンソン病、認知症、てんかん、注意欠陥多動性症候群(ADHD)、知能発育不全、気管支喘息、高・低血圧、胃痛、過敏性腸症候群、多発性神経炎、遺尿、腰背痛、神経痛、皮膚炎、PMS(月経前症候群)、月経不順、機能性子宮出血、インポテンツ(ED)などです。 症状に合わせて刺激部位を変更します 赤外線効果でさらなる血流の改善を促します 参考文献 株式会社アイ・エス・エス、Tipsコラム「第14回:白髪は黒く戻せるか?」https://haken.issjp.com/articles/careers/ke_tsumura_14 堂島針灸接骨院、難病(パーキンソン病・脊髄小脳変性症)鍼灸治療、https://www.dojima-hari.com/sinkyu/disease.html