筋膜(ファッシア:Fascia)とは

ファッシアは元々、シーツのような薄い膜を意味しています。

筋膜(ファッシア)の構造

これまでの認識では、筋肉を包む膜(深筋層)を筋膜とよび浅層と深層があると考えられていましたが、現在では浅筋膜は筋肉ではなく皮下組織(=皮下脂肪)を包むものということがわかってきました。

浅筋膜は皮膚と筋の間のスライドを援け外力に対して筋肉を保護します。結合がゆるむと皮膚に加わる衝撃を逃すことができず筋肉へダメージを与えやすくなります。さらに、網目状に互いに絡み合いネットワークを形成しているので、どこか1箇所が引っ張られることで、全体的な緊張やバランスの乱れに繋がることも少なくありません。

深筋膜は筋肉自体を被うスジ状の白い膜で、個々の筋~筋群を覆って内外から支えます。固定、収縮の制限、他筋との摩擦軽減作用があります。正常時には筋膜間は組織液に満たされ潤 滑油の役割を果たし筋と筋の摩擦を軽減しています。筋同士の摩擦が弱すぎると、Fuzz(絨毛)が癒着しやすくなります。筋膜には無数の神経細胞(受容器や自由神経終末)が分布しているので痛みに敏感です。

深筋膜の分類

  • ① 筋上膜(=筋外膜):筋を包み、腱・靱帯に連なる。
  • ② 筋周膜:筋束を包んで、腱。靱帯につらなる。
  • ③ 筋内膜:筋線維単を個々に包む(コラーゲン線維)
  • ④ 腱・靱帯:筋と骨、骨と骨を結わえつける。伸び率は4~5%。6%で部分断裂、8%で断裂する。

こり、ケガと筋膜の関係性

筋膜と筋膜が癒着した状態を、 Fuzz(=直訳で綿毛)と呼び、起床時など背伸びをするのは、胸 の側面から肩にかけての筋膜癒着を取り除き、隣接する組織がスムーズにスライドするように無意 識に行っている動作です。

こりによる痛みや不調が出るメカニズムとしては、次のような変化が起こっている可能性があります。

関節の可動域が狭まる
関節付着筋が完全伸縮しなくなり、固くなる
組織間の摩擦が増える
微細裂傷が起こる
筋膜癒着がさらに増える

癒着が生じたばかりであれば、伸びや簡単なストレッチ、運動などで筋膜間の滑りを回復することが出来ます。しかし、何週間、何ヶ月、何年、あるいは何十年もかけて積み重ねられた筋膜癒着は、自然治癒は困難です。その場合、筋膜間をメスで剥離する訳にもいかなので、ドクターであれば食 塩水や局麻剤を癒着部に注入して剥離、針灸師であれば、ファッシア内に針先を入れ、運動針を行うことで癒着を剥がすなどの治療、ケアが行われます。肉離れや骨折などの後遺症として生じる受傷部位の違和感もファッシアが原因となっている場合も少なくありません。

メディカルジャパンでの介入例

2D エコーによる筋膜(fascia)のスクリーニング
症状:スキーによる右下腿打撲後の亜急性期

受傷後の炎症5徴候(腫脹、疼痛、機能障害、発熱、発赤)は消失し、違和感のみ残っており、患側深筋層の肥厚癒着がエコー下にて確認できます。

今後の治療プログラム
  • 医療機
  • 伊東超短波530治療器(3DMENSモード→Pro-EMSモード) ※組織再生から筋ポンプ作用へ
  • 鍼灸(置鍼→運動鍼) ※消炎鎮痛から癒着改善
  • 徒手(PRICES→横断ストレッチ) ※消炎鎮痛から癒着改善 などの介入実施
2週間後に2Dエコーにて再評価を行います。

メディカルジャパンでは患者さんの永続的な利益に繋がる医療サービスをエビデンスに基づき実施しています。