副鼻腔炎

<背景・疫学>
鼻の中は「鼻腔」と「副鼻腔」とで構成されている。副鼻腔炎とは、鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす病気。副鼻腔は、顔の左右にそれぞれ4個ずつ、合計8個あり、その中には空気が入っていて、小さな穴で鼻腔とつながっている。副鼻腔の表面には薄い粘膜があり、粘液を出す役割、さらに、線毛という小さな毛がたくさん生えていて、粘液を鼻腔のほうへ押し出す役割を果たしている。

<原因>
副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎とがある。
急性副鼻腔炎
主に細菌やウイルス感染が原因で起こり、症状は1カ月ほどで治まる。風邪などで細菌やウイルスに感染すると、鼻腔が炎症を起こして鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴がふさがることがある。この穴がふさがると、鼻腔への粘液排出がうまくいかなくなり、副鼻腔内の粘液に細菌やウイルスが繁殖して膿がたまり、急性副鼻腔炎を引き起こす。副鼻腔の中で膿がたまると、腫れて眼や頬のあたりに痛みなどの症状が出ます。また、膿が鼻水と一緒に出てくるため、透明ではない黄色のネバネバとした鼻水が出るという特徴がある。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が長引いたり繰り返されたりして、その症状が3カ月以上続く副鼻腔炎のことを指します。
また、近年話題になっている副鼻腔炎で、「好酸球性副鼻腔炎」というものがある。好酸球とは、アレルギー性鼻炎や喘息などアレルギー反応に関わる白血球の一種。アレルギーを持つ人がかかりやすく、効果の高い薬はステロイドのみだが、ステロイド治療を止めると元に戻ってしまう傾向が強いのが特徴。近年、アレルギー性鼻炎患者の増加によって、好酸球性副鼻腔炎を発症する人が増えてきているが、根治が難しく、現在も研究が続けられている。

<一般的治療法>
急性副鼻腔炎の治療には、抗菌薬が使用される。通常、2週間程度服用を続ければ完治するとされるが、それでも治らず症状が3カ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎と診断される。
慢性副鼻腔炎になると、マクロライド系の抗菌薬を少量ずつ飲み続ける治療を行うことがある。この薬は、細菌を殺す作用のほかに、粘膜の炎症を抑える作用があるといわれている。
合わせて、線毛による排出機能を高めるために去痰剤を使用される。その他の治療法としては、鼻の中を洗って膿を出し、できるだけ膿を残さないようにする「鼻洗浄」という方法がある。それでも改善されない場合には、詰まっている穴を広げて、中の膿を吸い出す手術が行われる。