頸肩腕症候群

<背景・疫学>
上肢の長時間にわたる同一肢位の継続、反復によって、神経、筋の疲労を背景として発症し、頚椎から肩甲帯に及ぶ筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋)の疼痛、肩、肩甲骨周囲、腕にかけての痛みやしびれなどを来す疾患。
現在では、パソコン操作で発症することが多く、若年層から発症し男性より女性に多く発症するといわれている。

<原因>
広義の頸肩腕症候群は、首(頸部)から肩・腕・背部などにかけての痛み・異常感覚(しびれ感など)を訴える全ての症例を含んでいる。この中で、他の整形外科的疾患(たとえば変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群など)を除外した、検査などで病因が確定できないものを狭義の頸肩腕症候群と呼ぶ。
職業性のものであれば同じ動作を繰り返していたり、首や肩周り、腕、指に負担の多い作業に従事しているという場合に発症しやすいと考えられる。
近年ではパソコンの長時間使用、同じような姿勢をとりつづけているといった人もこのような症状に悩まされることが多い。若年層から起こり、男性より女性のほうがかかりやすいとされている。
加齢なども原因になりうる。職業性にかぎらず、育児やスポーツなども原因となることがある。

<診断>
痛みやこり感は常在性で、長期間の病期を経過した後に、腕のしびれ、後頭部痛や自律神経症状などが発生し症状は自覚症状が中心で、神経学的異常所見に乏しい場合に頚肩腕症候群を疑う。
MRIやレントゲン検査では発見出来ず、検査所見が少なく診断や立証の困難さが存在し、近似疾患の慢性疲労症候群や線維筋痛症、膠原病を疑い検査を行った過程で頚肩腕症候群であることが判明することもある。
頚椎椎間板ヘルニアとの鑑別で、ジャクソンテスト、

スパーリングテストを、胸郭出口症候群との鑑別でルーステスト、ライトテスト、

アドソンテストなどを行い、それらの所見が陰性であることを確認する。

<一般的治療法>
基本的には対症療法が行われる。
薬物療法

・・・非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩薬、精神的要因が強い場合は抗不安薬など。筋弛緩と抗不安の両方の作用を持つエチゾラムが使われることがある。

理学療法
・・・温熱療法、牽引療法など。